日経新聞:2025/10/19より。
従業員を資本家に 株式報酬導入4倍、賃上げより株価で報いる
2013年-2023年を比較すると、株価は100%以上増加、賃金上昇は20%程度ということ。
感想①
R>G(資本収益率((株価上昇、配当、不動産))よりも経済成長((GDP増加や賃上げ))が大きい)という言葉を聞いたことがある。
読んだ当時は「へーそうなんだ」くらいにしか思わなかったが、元記事で「直近10年の日本の賃上げは株価上昇の20%以下だった」というグラフを見ると、一般市民でも、投資をやっているか否かで大きな格差が開いていることがわかる。
上場企業の一部では、社員に給料とは別に株式報酬を用意しているということ。
労働者視点、自分の資産に会社の株価が反映されるのは、小さいながらも自分の働きが資産に反映される実感を得られる。
株式報酬は、会社視点・労働者視点ともに、仕事に打ち込む良いモチベーションになり、双方にメリットがあるよい仕組みだ。
ただ、さらにミクロな個人の家計レベルで見ると、株式報酬を受け取り続けるのは、あまり良い資産構成にならない。リスキー過ぎるのだ。
自分の収入が会社に依存しているのであれば、自分の資産は会社に依存しない方がよい。
会社が不祥事を起こして賞与がカットされたり、倒産したりした際に、自分の資産の大部分が自社株だったとしたら、収入・資産の両方が大きなダメージを受けることは容易に想像できる。
個人の生活は、その人の収入・資産の2本柱で支えられている。
自社株購入によって収入・資産の両方が会社に依存しないよう、ポートフォリオの定期的な見直し・リバランスが必要だ。
朝三暮四
労働者視点、「株式報酬制度ができてラッキー」と思うだろうが、個人の家計レベルではデメリットが大きい。
一人の従業員にかけられる人件費は限りがある。
株式報酬制度は、本来現金でもらえるはずの報酬が、流動性やリスク分散の観点で大きく劣る自社株に交換されているだけだ。
業績に連動する資産を従業員に付与してやる気を出させるのは良いアイデアだが、やや搾取的だなあとも思う。
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